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色んな文章の倉庫です。

懺悔

物心もつかないうちから、私には虚言癖がありました。 嘘をつく相手は母です。私は家に帰るなり、友達に虐められたと話して泣きました。その友達は嫌な奴で有名でしたし、事実その後にいざこざがあった記憶もありますが、当時虐められたという事実はありませ…

希死念慮

この休憩が終われば、あと一時間と少しで今日は終わる。 左半身でもたれかかるようにドアを開けながら、ズボンのポケットから携帯を取り出す。アラームを十分後の17:40にセットした。在庫品があちらこちらで影を背負いこちらを見ている。ドアの横にあるスイ…

自死の唄

解離していく感覚があった。もうずっとだ。 例えば青が見えるようになった。カーテンから覗く青、清潔なコインランドリーの青や、LEDに照らされ影となった青。澄んだ空気の青。色褪せた時間の青、部屋を満たす青。それはそれは綺麗な青だ。気が付いていない…

DEAR

遊んでいたかっただけだと思う 季節外れの蝉が鳴くから表面を撫でた 深すぎると濡れてしまうのは 多分僕のせいだから 寄生が上手だと 嫌味のような言葉が染みになる 景色の一つに過ぎないことが どうしてこんなにも息苦しい あなたに名前は要らなかった たと…